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経営のやってはいけない -残念な会社にしないための95項目 | ブックレビュー

公開日: : 最終更新日:2017/04/20 書評・ブックレビュー

経営のやってはいけない -残念な会社にしないための95項目-

久しぶりに書評・ブックレビューを書きます。「経営のやってはいけない 〜残念な会社にしないための95項目」が面白かったので、紹介させていただきます!とても95項目はカバーできませんが、その通底する思想を少しでも読み取っていただければうれしく思いますし、つまみ食いするだけでもとても役にたつのが本書だと思いました。

 

経営の基本は、まず「ムダを省くこと」

著者はまず、経営の基本は「ムダを省くこと」だと断言します。

確かに「やったら良いと思われること」というのは、世の中にほぼ無限に存在します。あれもやったほうが良い、これもやったほうが良い。そうして私たちはたくさんのことに手をつけて、それらの優先順位をみうしなってしまったり、結局貫き通して何か一つのことをやり遂げることができなかったりしてしまいます。

経営のテーマは「ムダを省くこと」。

本書ではムダを省いていくために、「あれもいい・これもいい」ではなくて、ずばりやらなくていいこと、する必要がないことを突き詰めています。

 

まず、成功した人の話を聞くのがムダ

意外な話から本書は始まります。

まず、成功した人の話を聞くのが「ムダ」だというのです。

経営は、結果が良ければ全て良しです。

そして成功の秘訣、良い結果が出る理由というのは、個別性が高すぎてなかなか法則化することができません。

たくさんの企業を調べた経営コンサルタントであるジェームズ・コリンズについて、面白い事実があります。彼は「ビジョナリー・カンパニー」で60社を飛躍している企業として紹介しました。しかし、そのうちの11社はその後ダメになっているというのです。

成功している・上手くいっている、なんていうのは、その時代・その時点での出来事にすぎず、その企業が数年後にどうなっているのかなどは誰もわからない、ということをわきまえる必要があります。

私たちが成功譚を聞く時の注意点

私たちは成功者の話を聞きたがります。もちろん、他人の成功体験、そのストーリーを聞くことは大きな勉強になります。けれども他人の成功譚を聞く時の注意点があります。それは目的を間違えないこと。他人の話を聞く理由は、決して「その成功者の真似をして、それと似たようなことを実行していくため」ではありません。

成功者の話を聞く理由は、本書によればコツがあります。

それは、その人が「しなかったこと」に注目すること。

背後の状況を知ることです。しなかったことや、実行して失敗したことなどを聞くことです。

「やってはいけないことリスト」のほうが成功しやすい

成功体験談は、いわば「偉人の伝記」のようなものだと割り切って聞くことが必要です。

それよりも実際的であり、効果的であり、教訓がたくさんあるのは、

「やってはいけない」「これはダメ」

という教えのほうです。

実際に「これをやったから成功した」ということよりも「これをやらなかったから成功した」ということのほうが多いのです。そして、「これをやらない」という教えは再現性が高いとも言えます。再現性が高いというのは「簡単に真似ができる」という意味です。「やってはいけない」と言われたことを、素直に受け入れて、やらなければ良いだけですから。

 

リーダー個人の「してはいけない」

まず、リーダー個人の振る舞いに着目して、いくつか「してはいけない」をリストアップしてみます。

リーダーは管理業務をしてはいけない

リーダーはついつい管理業務をしてしまいます。しかし、リーダーの最も大事な仕事、社長の最もすべき仕事は「営業」だと本書は言い切ります。営業。その会社の商品を売ること。それこそが最も難しいことであり、利益に直結することであり、そのほかの管理業務は全て二次的なことなのです。

特に、中小企業の社長さんは経理の仕事をしたがると言います。

しかし、その経理の作業に使っている時間は、本来「本業に向けるべき」時間であります。リーダーはちょっとでも時間があれば、余力があれば、事業を拡大するための仕事をしなければならないのです。営業です。物を売るのです。

「社長は一分一秒を惜しんで営業活動をすべき」

という言葉には、はっとさせられます。

管理業務から離れること。経営者であるならば、細かい数字・細かい作業に没頭する作業を極力なくすこと。経理よりも、販売。経理よりも営業。事業を大きくすることが全てであり、管理をできる限り自分の業務からなくしてしまう。それが鉄則だというのです。

管理業務を丸投げでもいけない、ということは確かです。特に組織が小さいうちはリーダー自身でしっかりとチェックしなければいけない。このチェックする時間が、リーダーのすべき唯一の管理業務です。

営業に自信の無い人は経営者になってはいけない

リーダーは、自分自身で物を売れる人でなければなりません。

ときどき「人と顔をあわせるのが苦手なので、資格をとって独立したい」という人がいると言います。税理士などを目指して、資格を取るのです。弁護士、税理士、医者、こう言った方々は、資格を取るのは勉強さえすれば誰でも「理論上は」可能です。

しかし、その先があるのです。自分に仕事を依頼してくれう人々、お客様がいなければ、いくら資格をとってもその道で生きていくことはできません。

自分がどんなに優秀な「資格保持者」であったとしても、他人がそのことを知らなければ仕事の依頼は全く発生しません。これはあらゆる業種に当てはまってくる真理です。どんなに良い商品でも、売り方が悪ければ商品は売れません。

営業とは、商売の根幹に関わること、という意識を強く持っておく必要があります。

失敗してはいけない

「失敗したほうがタメになる」とか

「失敗を経験した人のほうが他人の痛みがわかるから成長できる」

という言葉があります。しかし、断じてそんなことはない、と本書では語っています。

失敗などしないにこしたことはない。本当の実力者は、失敗などしないし、もっと正確に言えば失敗しないように行動するのが普通です。失敗しても良いなどという無謀なことを考えては絶対にいけないのです。

成功する人はみな、数少ないチャンスをものにしています。この次がある、などと思っている人には二度とチャンスはきません。失敗しても良い、などとゆめゆめ思ってはいけないのです。

「自分は、こんな失敗をしたが、立ち直った」という話を聞くこともありますが、それはたまたま致命傷でない・大変ではないものであっただけのこと。本当の失敗をしてしまった人は、その場にはいないのです。

いずれにしても、絶対に絶対に失敗は避けることです。失敗は自分だけのことでもありません。周りの人々、取引先やお客様にも迷惑をかけてしまいます。絶対に失敗をしないように注意すべきであるし、いやしくも「失敗してもいい」とか「失敗したほうが良い」などと軽々しく言ってはいけないのです。

 

創業メンバーは未来の幹部にはならない

中小企業においては、創業時のメンバーは会社が成長するにつれて会社を去っていく運命にあります。創業時と、会社が一定の規模になって来た時では、あるいはより大きくなった時とでは、それぞれ会社のリーダーたちに求められる役割が違ってくるのです。

創業時は、創業メンバーは誰でも幹部。ただひたすらがむしゃらに突き進むことが求められています。ところが創業して4-5年経って経営が軌道に乗ってくると、創業メンバーには中間管理職的な役割が求められるようになるのです。

プレーヤーからマネージャーへの意識変革が必要になります。現場から離れて命令だけ出す存在にリーダー自身がなってしまいます。それを見て、このあたりで創業メンバーの多くは脱落するようになります。

残った創業メンバーも大変です。

中途採用の幹部がでてくるからです。「なんで俺は最初からいるのに、あいつと同じ役職なんだ」ということになってしまうのです。しかし、会社が求めている人材は徐々に変わっていくのだ、という事実に気がつかなければなりません。

この頃になると「社長は変わった」と言い放って多くの創業メンバーが去っていくのです。一方リーダーのほうは「なんでついてきてくれないんだ」「なんでわかってくれないんだ」と嘆きます。しかしこれは必ず起こってくる問題で。むしろ「数十年も社歴がある会社で創業メンバーのほとんどが残っていたら、会社が全く成長していないということであり、そちらのほうが大問題」なのです!

だから社長の立場からいえば、創業メンバーが会社を去っても、それは悲しむべきことではなくて、会社が次のステージに入ったことを喜ぶべきなのです。もちろん、会社を去る人間に対する恩賞、報いること、感謝して、温かく送り出すことは別問題であり、かならずすべきことです。けれども、創業メンバーがいつまでも残っていることが良いことではない、という視点は必ず必要です。

 

人を雇うときにやってはいけないこと

人を雇うときにやってはいけないこと、というのも多々あります。これは怖いし、教訓的です。

リーダーになろうとする人は、思わず考え込んでしまう条項がたくさんです。

兄は雇っても弟は雇うな

兄弟で経営すると、いがみあってうまくいきません。例外的にうまくいくときは、親子のように年が離れている場合か、あるいは逆転型といって弟がリーダーで兄を雇っているケース。

順当に兄がリーダーで弟を雇っていると、だんだん弟に対抗意識が芽生えてきて、反旗を翻したりかき乱したりすることになってしまうようです。

これは兄弟に限らず、考えさせられてしまいます。年の近い協同経営者などありえないのだなあ。雇われている方は、年の近い・少し年上のリーダーに反発する者だなぁとつくづく思います。

友人は雇うな

これも考えてしまいます。本書でいうには、友人は雇ってはならない。もともと仲の良かった友人同士が仲違いし、いずれお互いに罵りあう関係になっていきます。

知り合いを雇う場合は、年齢ができるだけ離れている方が良いみたいですね。人間心理はかくも複雑。近いと対抗意識が芽生えていがみあうのでしょう。

 

会議は議論の場ではなく、指示命令の場である

これもめっちゃめちゃ参考になりました。

巷のビジネス書には「社員の声に耳を傾けよう」「会議の場で全員が納得した上で意見をまとめよう」などというキレイごとが散見されます。これを著者は全く否定します。

経営者は、リーダーは、自分の意見で会議を進めなければなりません

自分の意見を明確に表してメンバーに自分の考えを伝えて、その通りに動くように要求していかなかればなりません。会議は決して議論をする場でもなく、意見を拾い上げる場でもなく、指示命令の場所なのです。

そもそもリーダーの役割は決定することであり、判断することなのです。もちろん、その判断に組織の命運がかかっていますし、責任は重大です。また、誰よりも先を見通す目があり、実力がなければなりません。しかしリーダーの仕事は自らの意思決定を明確にすることであり、メンバーには自分の意図通りに行動することを求めていかなければならないのです。

会議では、リーダーは自分の意思を伝えることが大事。ただし、心を打つように伝えなければならないし、メンバーの心を動かせなくてはなりません。

指示命令の場所だと言って威圧的・攻撃的になっては絶対にいけないし、詰問もダメです。会議の参加者を不快にしてしまっては、会議の意義は吹っ飛んでしまいます。そんなことになるようだったら最初から人を集めて会議などしない方が良いのです。あくまでも、穏やかに、メンバーのモティベーションが上がるような話を。

いわば会議の場は、議論ではなく、報告会。意見の出し合いは、会議の前に、個人的な面談や課ごとのミーティングで済ませておくべきことです。会議の時間は拘束時間もあるものであるし、最善に準備をした上で、「良い報告」「良い指示命令」を出す場にしたいものです。

 

まとめ:リーダーシップを学ぶ良書

この本はリーダーシップを学ぶ上で良い本でした。多少極端なところはあるかもしれないが、「やってはいけない」ことを学ぶのは有益だった。特に「失敗してはいけない」は至言。そう、失敗してはいけない。それだけで、ずいぶんとたくさんの危険を察知して、回避することができるのかもしれません。

 

以上、経営のやってはいけない -残念な会社にしないための95項目 | ブックレビュー・・・でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。もし面白かったらシェアしていただければ嬉しいです。

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