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「社長力養成講座」小宮一慶 | 書評・ブックレビュー

公開日: : 最終更新日:2017/01/26 書評・ブックレビュー

 

今日は「社長力養成講座」のレビューです。

ちょっと書名が似ている「世界一シビアな社長力養成講座」というものもありますが、今日読むのは小宮一慶さんの少し前の本です。小宮さんはとにかく硬派。骨太で考えさせる経営コンサルタントで、以前に私も本をレビューしています(参考:「バカになれる人はバカじゃない |レビュー」)。社長力養成講座はそのタイトルからすると、既に社長の人、社長にこれからなっていきたい人のために見えますが、実はそうでもありません。リーダーの視点になって仕事を眺めるのは、組織のどのポジションにいる人にとっても大切なこと。そういうわけで、本書「社長力養成講座」はどんな人にも豊かな教訓を提供してくれます。

 

帯には

100年に1度のチャンス!?苦しい時代こそ、経営の原理原則が問われる!人としての原理原則が問われる!すべてのビジネスパーソンは「社長力」で差をつけろ!

お客様第一を徹底し、キャッシュフローを稼ぎ、それを将来のために人材や設備に投資し、さらに財務改善に使うことーこれらの鉄則は、バブルが崩壊しようが、金融危機であろうが、いかなる時代にも必要な原理原則です。むしろ、厳しい時代こそ、これらの原理原則を守ることが重要だと痛感しています。

とあります。社長になるうんぬんではなく、経営の原理原則、人としての原理原則を見直してみましょう。

 

目次は、、、?

目次は以下のようになっています。

はじめに

社長力1 ストラテジー力

社長力2 マーケティング力

社長力3 ヒューマンリソース・マネージメント力

社長力4 会計力

社長力5 リーダーシップと人間力

あとがき

 

それではいつものように印象に残った箇所を拾い上げて考えてみましょう!

 

話すよりも聞くこと

以前にこのブログでもレビューさせていただいた、戦後の偉大な経営者に松下幸之助さんがいます。(参考:「1分間松下幸之助 |レビュー」。)彼は日本興業銀行の頭取をされていた中山素平さんより「松下幸之助さんほど、人の話を聞くのがうまい人はいなかった」といわれています。

話すことというのは、実は誰でもできます。誰でもできるし、したいもの。しかしその逆に人の話を聞くというのは、本当に難しいことなのです。

リーダーというのは特に、話し好き・話し上手が多いものです。そこでリーダーは次第に、人の話を聞けなくなっていくことが多いようです。小宮さんはそれを戒めています。

「どんな人の話を聞くときにも必ずメモをとって聞いていた」という名経営者のエピソードを聞いて、小宮さんはすぐにノートを買い、部下の話でも誰の話でもメモを取るようにしたそうです。謙虚さを失わず、リーダーこそ前のめりになって人の話を熱心に聞くようにする。そういう態度に改めたという、小宮さんのお人柄がわかる話です。

松下幸之助さんは、人が成功するために大切な資質を一つだけあげるなら、それは「素直さ」だと言っていたそうです。素直に、人の話を聞く。そうすると、話を聞いてもらった人は、聞いてくれた人を好きになる。素晴らしい好循環がそこで生まれていきます。

 

リーダー自らが読書をすることの大切さ

小宮さんは数多くの経営者を見てこられましたが、経営や人生の勉強を十分にしていない経営者というのもたまにおられます。しかし、それではその会社は伸びていくことはできません。

社長の資質が、リーダーの資質が、その集団の能力を決めていきます。これは企業規模によらず、経営者・リーダーの考え方や能力が会社の業績を決めていくのです。

経営者にも息抜きが必要ですが、遊びが過ぎてしまう経営者も少なくありません。夜な夜な飲み歩いて遊ぶことが唯一の楽しみ、ストレス発散法だ、という経営者だと会社はあまり幸せになりません。

逆に、会社のためにもっともっと勉強してくれる経営者。それも趣味のごとく、個人的な楽しみのように、「読書」に精を出してくれる経営者がいたら、それは遊びによる出費もないし勉強によって会社の業績も向上し、いいことづくしです。

順境よりも「逆境」で問われるリーダー

会社や人生はいつも「順境」、良い調子のときばかりではなく、「逆境」としか言いようのない悪い調子の時も存在しています。前向き思考でポジティブにがんばることも大切ですが、逆境に陥ったときにどのように生きるかを準備しておくことも同じくらい大切だと小宮さんは説きます。

「いつも順境とは限らない。逆境のときをも想定した経営や人生計画が必要なのです。(214ページ)」

順境、つまり調子が良いときには独特の落とし穴もあります。それは、「当たり前」になってしまうことの弊害です。感謝の気持ちがなくなってしまうのです。本来は、お客さんの存在も、従業員の存在も、自分の健康も、すべては感謝すべき対象であり、ありがたいことなのです。その気持ちがあれば、自分の仕事や人生を大切にしていくことができます。そのような気持ちは、人間には必ず必要なのです。順境のときこそ感謝を忘れてはならないのです。

会社は、少しくらい業績が悪くなっても、資金をさらに調達してくることは不可能ではありません。お金を借りることも、小切手を切ることもできて、実際の実力、財務状態をごまかして経営することもできてしまいます。

であるからこそ、見栄やプライドの問題が解決されていない社長は危険です。逆境のときに会社をピンチにさせ、倒産させてしまうまで突っ走っていってしまうかもしれません。性格を変えるのが難しい場合は、せめて逆境のときにどうするかの準備をしておくと良いのです

 

小宮さんのいう、良いリーダー・成功するリーダーの共通項は5つです。小宮さんは別の著作でも、何度もこれを言っているそうです。

①せっかち 

②人を褒めるのがうまい 

③他人のことでも自分のことのように考えられる 

④恐いけど優しい 

⑤素直

この5つの条件、わかります。周りをみても当てはまります。

 

リーダーの矜持・リーダーの志

さて、リーダーが自分を律する原則について考えみましょう。まずは「会社(全体)のため」という発想があるかどうかです。自分自身のためではなく、自部門のためではなく、「会社全体のため」という発想をどこまで持っているかがリーダーの資質です。

自分自身の立場を良くするためではなく、会社全体が向上し、良くなっていくことを考えなければなりません。もし、次期社長をあなたが選ぶ立場にあるとしたらどうでしょうか?会社全体のことをいつも考えている役員と、自部門の利益ばかりを主張している役員の、どちらを候補として選びますか?

答えはいうまでもないことです。会社(集団)全体の利益を考えない人は、リーダーとしてふさわしいとは決して言えないのです。

リーダーは、私利私欲に生きていないかということも大切です。公私混同で経費を使って遊んでしまうことがないでしょうか?これは何も聖人君子になれという窮屈なモラルというだけではありません。

リーダーは一番の報酬は「会社全体の成功から来る」と信じて、目先の小銭でつまらないことをしない人が良いのです。リーダーは常に未来志向であり、将来において大きく成功することを夢見ており、目先の自分の利益・メリットに埋没しない、器の大きい人であってほしいと思います。

ここまで読んでいくと、リーダーとはまず何よりも志(こころざし)が必要なんだと思います。リーダーとしての矜持(きょうじ)・誇りを持って、志に生きていく。リーダーはそうあってほしいと期待します。ある社長が言うには、リーダーとは

「現在より未来」

「表面より本質」

「自分より他人」

「順境より逆境」

を優先して生きる人間だそうです。これもまた、深くて味わいのある教えです。

 

金儲けよりも「正しい人生」

これは、小宮さんの著作には時々現れる発想です。前回レビューさせていただいた「バカになれる人はバカじゃない」の中にも、この考え方は出てきました。仕事にとってもお金は大切だし、仕事を一生懸命やってちっとも経済的な成功を手にすることができないなら、夢のない話に他なりません。

しかし、結果は手段を正当化しません。不当な手段で利益を得ても仕方がないし、自分たちが良ければそれで良い、という生き方は非常につまらないと思います。そして「正しい考え方、正しい生き方をしている人・会社の方が結果的にうまくいっている」と小宮さんは言っています。

では、正しい生き方、正しい考え方とはなんなのでしょうか?

神ならぬ人間が正しい生き方を語ることは難しいと言えます。しかし、論語や仏典、聖書などの古典はその問いに多くのヒントを与えてくれると言って良いでしょう。

小宮さんは「バカになれる人はバカじゃない」の中で、仕事の人間関係に悩んだ時に「論語の活学」(安岡正篤著)を読んで孔子の思想である論語に触れ、「必要なことが、正しい生き方が、すべて書いてあったと感動した」というエピソードを語っています。

ひとりよがりの正しさではなく、多くの人が長い期間をかけて紡いできて信じてきた「正しい生き方」を、自分の人生観に織り込むことができたら、私たちは自分がどう生きたら良いかについて少しは確たる自信が持てるようになるのだと思います。そうした時に、リーダーは本当の意味で輝きます。逆境も順境もなく、利益追求に奔走することなく、ある一貫性をもった指針によって生きることができたら、と願います

 

まとめ

「社長力養成講座」は、すぐれたリーダー論であり、人間論でした。そして最終的にはどのように良く生きるか、正しく生きるか、という問いに読者を導いてくれます。

これは本書からだけの判断ではなく小宮さんの他の著書も合わせて読んだ上での予想ですが、小宮さんはいかに正しく生きるかという回答を古典、特に論語に求めているようです。結局最後は、社長力とは人間力。人間としてどう生きるか、という問いへの自分なりの回答を持っていくことが大切だと思ったのでした。今回は、自分自身や周りの上司と呼ばれる人々を思い浮かべながら、つい、とっても真面目なブックレビューになりました。。。

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